1. 銀行口座の開設
(1) 法人口座と個人口座
会社、支店、及びLLPは法務局にて登記を必要としますので、登記事項証明書を入手できるため、日本国内での存在が明らかとなり、市中銀行にて会社、支店、またはLLPとして銀行口座を開設することができます。 一方で、駐在員事務所は登記事項証明書等、その存在を明らかにする公的文書がありませんので、駐在員事務所としての口座を開設することはできず、駐在員等の個人の口座を開設することとなります。
(2) 外資系銀行と日系銀行
一般に外国事業者は、親会社と同様の銀行である外資系銀行の日本支店に銀行口座を開設する傾向があります。しかし、外資銀行は日本に支店が少なく、また税金や社会保険料の支払いを行うことができる歳入代理店となっていない場合が多く、日常業務に不便である等の理由から、少なくとも1つの日系銀行の口座をもつことをお勧めします。
(3) 当座預金と普通預金
米国では、主に小切手で支払を行うため、当座預金を使うのが通常です。日本では、ほとんどの支払を小切手よりも、普通預金口座から銀行振込を使って行います。そのため、日系銀行で普通口座を開設することをお勧めします。
(4) はんこ
サインを銀行に登録することは一般的ではありません。代わりに、駐在員事務所の場合は個人印、会社や支店の場合は会社印(「はんこ」と呼ばれる)を銀行に登録します。一定金額までの引き出しはキャッシュカードを利用してATMにて行えますが、限度額以上の現金引出しは、当該銀行に登録したはんこと通帳を使って銀行窓口にて行います。はんこと通帳とは別々に保管し、預金が不正に引き出されないようにしなければなりません。
(5) 自動振替契約
一般的に、日本において賃貸料・電気料金・ガス料金・水道使用料金や電話使用料金などの定期的な支払の為に、銀行口座自動振替契約を結びます。この契約により、前月使用料の自動振替の領収書と共に自動引落しの事前通知が企業に送付されてきます。
2. 事務所所在地の見つけ方
(1) バイリンガルの不動産代理店
一般的に、不動産代理店を用いずに事務所スペースを見つける事は簡単ではありません。賃貸契約の条件を理解することはかなり難しいですし、外国企業に事務所を貸すのを嫌がることもあります。それゆえに、主に外国のテナントと取引をするバイリンガルの不動産代理店の利用が有用です。それらは東京、大阪、名古屋等の主要都市にあります。
(2) 敷金と権利金
事務所の賃貸借において、敷金、場合によっては権利金を貸主から要求されます。権利金は、一般的な費用で、特に日本の西部地区では返還されません。返還されない部分の敷金は、権利金と同様に繰延資産として扱うことができ、日本の税法に沿って償却することができます。
(3) 不動産転貸借と社会保険登録
新たに開設された会社は、他のテナントから不動産転貸借契約をもとに事務所を借りることがあります。その場合、社会保険の登録目的のために、社会保険事務所から、賃貸借の本契約書と不動産転貸借契約書の両方を提出することを求められます。
3. 在留資格
(1) 短期滞在査証
事務所の選定や職員の採用など、事務所または支店の開設・日本法人設立の準備作業を日本において行うためには、日本の在外公館にて短期滞在査証を取得した上で、上陸許可を得て入国します。日本国が一般査証免除措置を実施している諸国・地域人は、「短期滞在」に該当する場合、査証を必要としませんが、それぞれの措置に定める期間を超えての滞在は適用外となりますのでご留意下さい。
なお、「短期滞在」での、日本における就労は認められていません。事務所・支店・日本法人で継続的に就労活動するにあたり、速やかに在留資格取得の申請手続きを行ってください。
(短期間の滞在であっても収入を伴う事業を運営し、又は報酬を得る活動は、「短期滞在」に該当しません。)
(2) 在留資格の種類
日本にて就労等の滞在をする場合は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」と表記する)にて定められた、27種類の在留資格の中から、行おうとする活動が 該当する在留資格を取得しなければなりません。
在留資格一覧表(出入国管理及び難民認定法 別表第一、別表第二)
別表第一
一
| 在留資格 | 本邦において行うことができる活動 |
|---|---|
| 外交 | 日本国政府が接受する外国政府の外交使節団若しくは領事機関の構成員、条約若しくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者又はこれらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動 |
| 公用 | 日本国政府の承認した外国政府若しくは国際機関の公務に従事する者又はその者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(この表の外交の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
| 教授 | 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動 |
| 芸術 | 収入を伴う音楽、美術、文学その他の芸術上の活動(二の表の興行の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
| 宗教 | 外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動 |
| 報道 | 外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動 |
二
| 在留資格 | 本邦において行うことができる活動 |
|---|---|
| 投資・経営 | 本邦において貿易その他の事業の経営を開始し若しくは本邦におけるこれらの事業に投資してその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事し又は本邦においてこれらの事業の経営を開始した外国人(外国法人を含む。以下この項において同じ。)若しくは本邦におけるこれらの事業に投資している外国人に代わつてその経営を行い若しくは当該事業の管理に従事する活動(この表の法律・会計業務の項の下欄に掲げる資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営若しくは管理に従事する活動を除く。) |
| 法律・会計業務 | 外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動 |
| 医療 | 医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動 |
| 研究 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(一の表の教授の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
| 教育 | 本邦の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動 |
| 技術 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務に従事する活動(一の表の教授の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の投資・経営の項、医療の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
| 人文知識・国際業務 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する知識を必要とする業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項、芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の投資・経営の項から教育の項まで、企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
| 企業内転勤 | 本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術の項又は人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動 |
| 興行 | 演劇、演芸、演奏、スポ―ツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(この表の投資・経営の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
| 技能 | 本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動 |
三
| 在留資格 | 本邦において行うことができる活動 |
|---|---|
| 文化活動 | 収入を伴わない学術上若しくは芸術上の活動又は我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い若しくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(四の表の留学の項から研修の項までの下欄に掲げる活動を除く。) |
| 短期滞在 | 本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポ―ツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動 |
四
| 在留資格 | 本邦において行うことができる活動 |
|---|---|
| 留学 | 本邦の大学若しくはこれに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国において十二年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関又は高等専門学校において教育を受ける活動 |
| 就学 | 本邦の高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校(この表の留学の項の下欄に規定する機関を除く。)若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において教育を受ける活動 |
| 研修 | 本邦の公私の機関により受け入れられて行う技術、技能又は知識の修得をする活動(この表の留学の項及び就学の項の下欄に掲げる活動を除く。) |
| 家族滞在 | 一の表、二の表又は三の表の上欄の在留資格(外交、公用及び短期滞在を除く。)をもつて在留する者又はこの表の留学、就学若しくは研修の在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動 |
五
| 在留資格 | 本邦において行うことができる活動 |
|---|---|
| 特定活動 | 法務大臣が個々の外国人について次のイからニまでのいずれかに該当するものとして特に指定する活動
|
別表第二
| 在留資格 | 本邦において有する身分又は地位 |
|---|---|
| 永住者 | 法務大臣が永住を認める者 |
| 日本人の配偶者等 | 日本人の配偶者若しくは民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百十七条の二の規定による特別養子又は日本人の子として出生した者 |
| 永住者の配偶者等 | 永住者の在留資格をもつて在留する者若しくは特別永住者(以下「永住者等」と総称する。)の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者 |
| 定住者 | 法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者 |
行おうとする活動や条件により、該当する在留資格は異なり、それぞれのケースによって必要書類等も異なりますので、詳しくは行政書士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
(3) 主な在留資格
以下5種類の就労を目的とする、主な在留資格の基準及び提出資料をご説明します。
(3)-1 投資・経営
<基準>
事業は、適正に行われるもので、かつ、安定性及び継続性の認められるものでなければなりません。
- 事業所として使用する施設が確保されていること
- 経営又は管理に従事する者以外に二人以上の常勤職員を雇用、もしくは、金500万円以上の投資を行うこと
※常勤職員は日本国籍を有するもの・永住者・日本人もしくは永住者の配偶者等・定住者であること - (管理者の場合)
事業の経営又は管理について三年以上の経験を有し、かつ、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
<提出資料>
- 事業内容を明らかにする資料
- 商業・法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
- 直近の損益計算書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
- 案内書 等
- 職員数や賃金の支払いを明らかにする資料
- 雇用契約書の写し又は賃金台帳の写し
- 住民票又は外国人登録証明書の写し
- 雇用保険料納付書控等の写し 等
- 事業所の内容を明らかにする資料
- 案内書
- 賃貸借契約書の写し 等
(3)-2 技術/人文知識・国際業務
<基準>
- 従事しようとする業務に必要な知識等に係わる科目を専攻して大学を卒業、若しくは、従事しようとする業務について10年以上の実務経験を有すること
(翻訳・通訳・語学の指導・海外取引業務等に従事する場合は従事しようとする業務について3年以上の実務経験を有すること。大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に係る業務に従事する場合は、この限りでない。) - 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
<提出資料>
- 招へい機関の概要を明らかにする資料
- 商業・法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
- 直近の損益計算書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
- 案内書 等
- 卒業証明書又は活動に係る科目を専攻した期間に係る証明書及び職歴を証する 文書
- 卒業証明書又は卒業証書の写し
- 在職証明書
- 申請人の履歴書 等
- 活動内容、期間、地位及び報酬を証するもの
- 招へい機関との雇用契約書の写し 等
(3)-3 企業内転勤
<基準>
外国の事業所から本邦の事業所に一定期間転勤して行う「技術」又は「人文知識・国際業務」の在留資格に対応する活動
- 転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において1年以上継続して「技術」又は「人文知識・国際業務」に対応する業務に従事していること
- 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
<提出資料>
- 外国の事業所と本邦の事業所の関係を示すもの
- 事業の開始届け出
- 案内書 等
- 本邦の事業所の概要を明らかにする資料
- 商業・法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
- 直近の損益計算書の写し(新規事業の場合は、事業計画書)
- 案内書 等
- 外国の事業所における職務内容及び勤務期間を証する文書
- 外国の事務所からの在職証明書等で、転勤前一年間に従事した職務内容及び勤務期間を証するもの
- 外国の事業所の概要を明らかにする資料
- 商業・法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
- 直近の損益計算書の写し(新規事業の場合は、事業計画書)
- 案内書 等
- 活動の内容、期間、地位及び報酬を証するもの
- 転勤命令書の写し 等
- 卒業証明書及び経歴を証する文書
- 卒業証明書又は卒業証書の写し
- 申請人の履歴書 等
(3)-4 技能
<基準>
- 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること
- 産業上の特殊な分野に属するいわゆる熟練労働者としての活動
- 例)料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものについて10年以上の実務経験を有するもので、当該技能を要する業務に従事するもの。
(但し、日本国との条約により、5年以上の実務経験を有するものについて当該 技能を要する業務に従事する場合に適用されることがある。)
- 例)料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものについて10年以上の実務経験を有するもので、当該技能を要する業務に従事するもの。
<提出資料>
- 招へい期間の概要を明らかにする資料
- 商業・法人登記簿謄本(発行後3ヶ月以内)
- 直近の損益計算書の写し(新規事業の場合は事業計画書)
- 案内書
- 外国人社員リスト 等
- 経歴書並びに活動に係る経歴及び資格を証する
- 公的機関が発行した文書
- 申請人の履歴書
- 公的機関が発行する資格証明書がある場合は、当該証明書の写し所属機関からの在職証明書で、関連する業務に従事した期間を証するもの 等
- 活動の内容、期間、地位及び報酬を証するもの
- 招へい期間との雇用契約書の写し 等
(4) 在留資格認定証明書
入管法は、外国人が「短期滞在」以外の在留資格で日本国に上陸しようとする場合、申請に基づき、法務大臣があらかじめ在留資格に関する上陸条件の適合性を審査し、その外国人の行おうとする活動の在留資格該当性を証明する文書を発給できることを定めています。この文書を在留資格認定証明書といいます。
在留資格認定証明書を交付された外国人は、その在留資格認定証明書を日本の在外公館にて提示し、査証の発給を受けた上で、上陸許可を受けて入国します。在留資格認定証明書を所持している場合には、在留資格該当性等の上陸条件適合性の立証を容易に行うことができるため、査証及び入国審査手続きのための審査時間が短縮される利点があります。
在留資格証明書交付申請は居住予定地、受け入れ機関の所在地を管轄する地方入国管理官署にて行います。申請書の提出は、受け入れ機関の職員その他の法務省令で定める代理人の他、地方入国管理局長に届け出た申請取次ができる行政書士等が行うことが可能です。
在留資格認定証明書交付申請の流れ

(5) 外国人登録
日本に在留する外国人は、日本に新規に入国したときは、その上陸の日から90日以内に、また、日本で出生した場合や日本国籍を離脱(喪失)したときなどは、出生、日本国籍離脱(喪失)等その事由が生じた日から60日以内に、居住地となる市区町村にて外国人登録をし、交付される外国人登録証明書を常に携帯することが義務付けられています。
外国人登録に関する手続きその他詳細については、居住地の市区町村にお問い合わせ下さい。
(6) 再入国許可
付与されている在留期間内に、出張・親族訪問等一時的な用務で日本国外に出国する際には、事前に入国管理局にて再入国許可を必ず受けてください。再入国許可を受けずに出国した場合には、有していた在留資格及び在留期間は消滅してしまいますので十分注意して下さい。
再入国許可には、1回限り有効のものと有効期間内であれば何回も使用できる数次 有効のものの2種類があります。
(7) 在留期間更新許可
現に付与されている在留資格のまま、現在の在留期間を超えて引き続き在留しようとする場合には、在留期間の満了する日以前(6か月以上の在留期間を有する者にあたっては在留期間の満了する2か月前から)に在留期間の更新許可申請を行わなければなりません。
(8) 在留資格変更許可
在留資格を有する外国人が在留目的を変更して別の在留資格に該当する活動を行おうとする場合は、在留資格の変更許可申請を行わなければなりません。
在留資格変更・期間更新許可申請の流れ

4. 採用活動
(1) 一般従業員
新入社員を採用するための方法は大学卒業生やトレーニングスクール等による雇用サービス、公共職業安定所、民間の人材紹介会社、新聞や雑誌への広告等の方法があります。
仮に、業務経験、専門的知識や、英語の語学能力のある応募者を求める場合は、民間の人材紹介会社や、日刊の英字新聞などの英語媒体を使う方法が効率的です。
(2) 臨時社員
日本では、民間の人材派遣会社を通して臨時社員や非常勤社員を雇用するケースが普及してきました。民間の人材派遣会社による人事サービスを利用する主な利点は、雇用主が、社会保険や源泉徴収などの問題を気にしなくてよいことです。そのため、まだ人事機能が確立されていない設立段階の会社にとっては非常に有益です。

